消費税10%に向けた住宅取得支援策とそのメリット
2019年10月1日から、いよいよ消費税が10%に引き上げられますが、前回の増税時(2014年4月に5%→8%)に比べて、今回は住宅取得に伴う手厚い支援措置が講じられます。そこで、各種支援とそのメリットについて、国交省住宅局住宅生産課住宅ストック活用・リフォーム推進官の松井康治さんに取材してきました。(取材・文/松本英雄)
2月1日から3月14日まで全国47都道府県で事業説明会を開催
―消費増税に対する住宅取得者への支援措置が注目されています。2019年も全国47都道府県で住宅事業者、消費者を対象に事業説明会を開催されていますが、具体的な内容を教えてください
説明会は、本年10月に予定されている消費税率引上げ後の住宅取得支援策を幅広くお知らせするために実施するものです。今回の対策は①住宅ローン減税の拡充、②すまい給付金の拡充、③次世代住宅ポイントの創設、④住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の4つです。税率引上げ後の住宅取得においてメリットがでるような対策となっていると思います。また、説明会では、その他に、①良質な住宅ストックによる新たな循環システムの構築、②住宅・建築物の省エネ化の推進、③木造住宅・建築物の振興に資する施策についても紹介します。
説明会は2019年2月1日に東京会場からスタートし、3月14日までに全都道府県で開催しています。対象者は、主に住宅関連事業者向けとなっていますが、一般の方も無料で参加できますので、是非ご来場ください。
住宅取得者への支援制度は4本柱を軸に充実
―今回の増税後への住宅取得支援対策は、かなり充実しているとの声がありますが、それぞれ教えていただけますか
一つ目は住宅ローン減税の拡充です。現行では、年末のローン残高4,000万円を上限にその1%を10年間、所得税から控除することができる制度となっています。今回の消費増税に対しては、控除期間を3年延長し、延長する3年間において建物価格の消費税2%分の範囲で減税するという拡充を行うこととしています。ローン残高等の上限額は一般住宅の場合は4,000万円ですが、長期優良住宅や低炭素住宅は5,000万円となります。
住宅ローン減税の現行部分は、2021年12月31日までに入居した方が対象となり、拡充部分は、2019年10月1日から2020年12月31日までの期間に入居した方が対象となります。二つ目はすまい給付金の拡充です。前回(2014年4月)の消費税率引上げ時に創設された制度で、今回(2019年10月1日予定)の税率引き上げに際し、給付額を最大30万円から最大50万円に引き上げるとともに、対象となる所得階層を510万円以下から775万円以下に拡充することとしています。
三つ目は次世代住宅ポイント制度の創設です。この制度は、前回税率引上げ後に実施した省エネ住宅ポイント制度を拡充したもので、今回は、省エネ性のほか、耐震性やバリアフリー性能等を満たす新築住宅(持ち家に限る)に対し最大35万円相当の、リフォームは貸家も対象とし最大30万円相当の、商品と交換可能なポイントを発行する制度となっています。四つ目は住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置です。最大3,000万円まで贈与税が非課税になります。このように、税率引上げ後の住宅取得にメリットがある制度となっています。
要注意! 契約時期で異なる経過措置の適用条件
―消費税が増税される前に確認しておきたいことは何でしょうか
消費税率の適用基準日となるのは、契約日ではなく住宅の引き渡し日となります。税率が引き上げられる2019年10月以降に引き渡しとなる場合は、新税率の10%が適用されます。ただし、税率の引き上げによる混乱を避けるために経過措置という制度がありまして、税率引上げ日の半年前にあたる2019年4月1日より前に工事請負契約を締結した場合は、引渡しが同年10月以降となっても、現行税率の8%が適用されます。
この経過措置は、主に注文住宅などの請負契約に適用されますが、マンション等の分譲契約についても、特別の注文を付すことができることとなっている場合には、同様に経過措置が適用されます。
住宅取得は、“増税後の方がお得”は本当?
―これだけ手厚い対策ですと、住宅取得は増税後の方が得なのではとの声もありますが・・・
これまでの税率引上げ時には、その前後において、駆け込み需要と反動減が生じています。今回は、これまでの経験を踏まえ、住宅の需要変動の平準化を図るため、消費税率引上げ後の住宅取得にメリットがでるような措置として、各種支援策を用意させていただいております。
住宅取得は、それぞれ資金計画等やライフプランに沿ってお決めになられると思いますが、住宅の取得等を検討されている方には、是非ともこれらの支援策を正しく知っていただき、制度のご利用もご検討していただければと考えています。