70㎡の大空間ワンルーム!? 好きなモノにだけに囲まれて暮らしたい

Tさんご家族

ドアを開けると、思わず声が・・・「えっ、ここはマンション?」。そこにはドーンと広々した大空間が広がっていました。玄関を入ると土間、畳スペースと続き、そのままリビングダイニング、左手にキッチン。すべてつながっています。つまり仕切りがないのです。

「これが自分たちのスタイルなんです。中古マンションをフルリノベーションして、僕たちの暮らしにフィットするようにデザインしました」と、ほんのり笑顔で話してくれるTさん。「入居して1年ほどになりますが、とても快適です。気持ちよく暮らすために空間をカスタマイズしたわけですからね」。そんなTさん宅は、“大きなワンルーム”という形容がピッタリくるかもしれません。「ドアや仕切りを可能な限りなくし、ゆったりした開放感のある空間にこだわりました。結果的にトイレや洗面・浴室以外は固定のドアはありません(笑)」

取材の合間も1歳になる長女が、畳や無垢の床の上で元気に走り回ります。
「子どもが活発に動くようになってきましたが、どこで遊んでいてもちゃんと目が届く。家の中のどこにいても、家族の気配や空気感をちゃんと共有できる。それってとてもいいことじゃないでしょうか」(妻)

リビングの天井やトイレに現したむき出しのコンクリート、対照的に温かみのある床の無垢材、インテリアはほぼモノトーンで統一。その空間に、50、いや60足はありそうなスニーカー、そこかしこに貼られたり置かれたりしたポスターやコンテナ、雑貨類・・・

「空間も含めて、好きなモノだけに囲まれていたい」。そんなTさんの言葉が印象的でした。

リビング側から畳スペースや玄関、土間方向。ちょっと腰かけるのにちょうどいい畳スペースの下は、大きな収納になっている

リビングの真上は、あえて躯体のコンクリートを見せている

妻の妊娠で家探しをスタート

Tさんご家族が家探しを考えたきっかけは、妻の妊娠でした。それまで住んでいた川崎の賃貸マンションは、子どもができたらさすがに狭いと、引っ越しを決意。その段階で、賃貸よりも購入に傾いたといいます。

まずは先入観にとらわれず、あらゆる可能性を探ったそうです。一戸建ての注文住宅や建て売り住宅、さらに土地まで見学。マンションも新築で、豊洲や武蔵小杉のタワーマンションも検討しました。妊娠中ということもあって、かなり大変だったでしょうね。それで、いろいろ見ての結論はというと・・・

「今ひとつピンとこなかったんですね。その理由は明らかでした。与えられた箱に合わせて暮らすのでは満足できない、このことを強く実感しました」と話すTさんに、妻も続けます。

「夫は新築住宅のインテリアや空間づくりではきっと納得しない。私も確信めいたものがありました。とはいえ、注文住宅となると予算的に希望の広さは確保できそうもありません。そんなとき、リノベーションなら私たちの希望を実現してくれることが分かったんです」

キッチンから見たリビングスペースは、シンプルな色づかいにこだわった。左手の奥は上部が開いた大容量のクローゼットを造作

リノベーションするにあたり、3つの条件を設定

ひと通り見学したり検討した段階で、Tさん夫妻が出した結論は、「中古マンションを買ってリノベーション、自分たちの好みの間取りとインテリアで暮らす」というものでした。ただし、Tさんは大きく3つの条件を設定したそうです。

「都心への通勤が便利ならば、駅にはこだわらない。その代わり、駅から徒歩10分以内、築15年以内、専有面積は70㎡程度を条件にしました。将来的に家族構成やライフスタイルが変化しても、柔軟に対応できるように考えました。例えば駅から遠いと資産価値は落ちやすいですよね。あと、新耐震基準でも築15年程度なら10年間住んでも築25年。この時点で子どもも大きくなっています。さらにリノベーションするにしても、賃貸に出したり買い替えたりするにしても、選択肢をなるべく多くしたいと思ったのです」

なるほど、家探しは家族の将来まで見通し、考えるきっかけになったわけですね。まずは10年のスパンで考え、その先も自由が利くようにというわけです。

こうした条件をクリアした上で、間取りを3LDKから1LDKに大きく変更し、土間や畳、無垢の床材など素材まで、こだわり抜いたのはいうまでもありません。

もともと3LDKだったが、仕切りをなくして1LDKに変更。唯一の洋室も扉を開け放てば、リビングと一体化。ほぼワンルーム状態に

妥協せずにこだわり抜く、リノベーションだからこそ実現

そうした条件を設定したものの、まずは気になるリノベーション会社探しから。数ある会社の中から目に留まったのは、ニューユニークスでした。「施工例を見て、何かイメージが近いものが多いなと感じました。連絡してみると、営業担当や設計担当のスタッフも、とても感じが良かったんです。それと、条件に合う中古マンションも探してくれるとのこと。いろいろやることが盛りだくさんなので、とても助かりましたね」(Tさん)

「キッチン以外はほぼ夫にまかせきりでしたが、子育てするのには”プチ郊外”が理想かなと考えました。ここは緑も多くて公園も近い、何より売主さんが3人の子育てをしたということで、いろいろ情報を教えてもらえたので心強かったですね」(妻)

「ここは条件をクリアし、さらに高台で日当りや風通しがいいこと、ガラスブロックが効果的に使われていて全体が明るいことなどが、決め手になりました。でも、振り返ってみると、会社選びが正解だったことが大きいですね。フルリノベーションとなると管理組合への届け出と工事の許可をもらうなど手続きも複雑。それらを安心して任せられました。プランではこちらの細かなリクエストにも応えてくれて、僕らに寄り添ってくれました」

「私はちょっと大変だったかなと…。だって、当たり前ですけど、ドアからタイルや水栓まで、全部決めなければなりません。時間も手間もかかりましたね。でも、それだけ大変だったからこそ、私たち家族だけの愛着のある住まいになったのかなと、今では満足感のほうが大きいですね」(妻)

上/リビングの窓はガラスブロック。外部からの視線を遮りながら、室内に柔らかな光を届ける。左にはテラスへ出られる掃き出し窓 下左/清潔感のある洗面スペース。こだわりのタイルは、トイレにも使われている 下右/トイレの正面の壁もコンクリートを見せている

Tさんご家族 :Tさん夫妻(夫30代、妻20代)、夫婦+長女(1歳)

お住まい : リノベーション/ nuリノベーション(設計・施工)

エリア/東京都調布市

間取り/1LDK+WIC

予算/1,280万円(リノベーション)

取材/うちレポ取材班(2019年2月)