郊外型マンションの救世主現る!? 日鉄興和不動産が挑む「マンション専用モビリティサービス」 その可能性に迫る
「MaaS」という言葉をご存知でしょうか。「Mobility as a Service」の略で、直訳すると「サービスとしての移動」。具体的にはあらゆる公共交通機関を、ITと連動してスムーズにつなぎ、人々がより効率よく、手軽に交通手段を利用できるようにするシステムのことです。将来的には全自動運転の自動車を用途に応じて予約し、指定場所まで呼び寄せ、目的地まで運んでもらうことを目指し、世界各国で研究が進められています。そんな未来への第一歩として、日鉄興和不動産とオンデマンドモビリティサービスのプラットフォームを運営するMONETが共同で「マンション専用MaaS」の試験運行実施を発表。どのようなサービス展開を目指し、どのような実験を行うのか。実験の舞台となる「リビオシティ・ルネ葛西」で取材してきました。
シャトルバスの発展形? 「マンション専用オンデマンドモビリティサービス」の可能性とは
今回「リビオシティ・ルネ葛西」で行われる「マンション専用MaaS」について、正直なところ、事前情報からでは、具体的に何が行われるのかよくわかりませんでした。実は取材を行っていても、途中まで何が画期的なのか、果たして本当にニーズがあるのか、半信半疑でした。
今回の実験の主眼となるサービス内容を簡単に説明すると、「マンション住人が協議によって行き先を自由に設定できる送迎バス」です。あらかじめ設定されたスポットまで、予約状況に応じて最も効率の良いルートをAIが判断し、運転手に情報を共有することで、快適な移動を実現するというもの。
通常のシャトルバスは特定の駅とマンションの間を往復するだけでしたが、例えばマンション住人が日中によく利用する商業施設や公園なども行き先として設定でき、通勤以外の日中利用の幅を広げようという試みです。
今回の実験では朝夕の通勤時間帯は駅までのシャトルバスとして運行し、乗車料金は一律200円。日中は事前にマンション住人へのヒヤリングによって選定した11か所のスポットを目的地として設定し、乗車料金は一律300円となっています。300円は少し高い気がしますが、通常の路線バスが210円ということを考えると、予約すれば確実に載れて、マンション専用という安心感が加わると考えると、特に子育て家族の期待はかなり大きいようです。
先ほどふれたとおり“送迎”バスのため、マンションからだけでなく、お出かけ先でバスを予約し、11か所のスポットのいずれかでピックアップしてもらい、マンションまで帰宅することも可能です。
今回の実験ではだいたいマンションを出発して、マンションに戻るまで20分サイクルで巡回できるスポットを選定したそうですが、実験開始3か月をめどに、スポットの見直しなども行う予定とのこと。利用者が増え、目的地も多くなると、予約状況に応じて「目的地に予定通りに到着できるか」が心配になりますが、予約する際に到着希望時間から逆算して乗車予約ができ、先に予約された条件が覆るような予約はできないようになっているため、その点は安心して良さそうです。
なお、今回は日鉄興和不動産の実験のため、管理費は発生しませんが、実際に導入するとなるとバスのリースや運転手との契約はマンションの管理組合が行うため、当然、利用者が一定数に満たなければ運用は成立しません。想定では1か月に300組が利用すれば成功する見通しとのこと。今回の舞台は十分な管理費が見込める大規模マンションですが、たとえば中・小規模マンションでも、近隣の複数のマンションで共有化することで、コストの課題を解決するなど、様々な可能性を模索しているそうです。
もしこの実験で良い結果が出たら、今後は郊外の交通手段に乏しいエリアでのマンション建設の新しい可能性を開拓し、より手が届く価格帯での住宅供給ができるのではないかと、日鉄興和不動産も期待を寄せいているといいます。マンションは高くて買えない、そんな状況を脱する希望となるか、実験結果に注目です。
シャトルバスの発展形? 「マンション専用オンデマンドモビリティサービス」の可能性とは
今回「リビオシティ・ルネ葛西」で行われる「マンション専用MaaS」について、正直なところ、事前情報からでは、具体的に何が行われるのかよくわかりませんでした。実は取材を行っていても、途中まで何が画期的なのか、果たして本当にニーズがあるのか、半信半疑でした。
今回の実験の主眼となるサービス内容を簡単に説明すると、「マンション住人が協議によって行き先を自由に設定できる送迎バス」です。あらかじめ設定されたスポットまで、予約状況に応じて最も効率の良いルートをAIが判断し、運転手に情報を共有することで、快適な移動を実現するというもの。
通常のシャトルバスは特定の駅とマンションの間を往復するだけでしたが、例えばマンション住人が日中によく利用する商業施設や公園なども行き先として設定でき、通勤以外の日中利用の幅を広げようという試みです。
今回の実験では朝夕の通勤時間帯は駅までのシャトルバスとして運行し、乗車料金は一律200円。日中は事前にマンション住人へのヒヤリングによって選定した11か所のスポットを目的地として設定し、乗車料金は一律300円となっています。300円は少し高い気がしますが、通常の路線バスが210円ということを考えると、予約すれば確実に載れて、マンション専用という安心感が加わると考えると、特に子育て家族の期待はかなり大きいようです。
先ほどふれたとおり“送迎”バスのため、マンションからだけでなく、お出かけ先でバスを予約し、11か所のスポットのいずれかでピックアップしてもらい、マンションまで帰宅することも可能です。
今回の実験ではだいたいマンションを出発して、マンションに戻るまで20分サイクルで巡回できるスポットを選定したそうですが、実験開始3か月をめどに、スポットの見直しなども行う予定とのこと。利用者が増え、目的地も多くなると、予約状況に応じて「目的地に予定通りに到着できるか」が心配になりますが、予約する際に到着希望時間から逆算して乗車予約ができ、先に予約された条件が覆るような予約はできないようになっているため、その点は安心して良さそうです。
なお、今回は日鉄興和不動産の実験のため、管理費は発生しませんが、実際に導入するとなるとバスのリースや運転手との契約はマンションの管理組合が行うため、当然、利用者が一定数に満たなければ運用は成立しません。想定では1か月に300組が利用すれば成功する見通しとのこと。今回の舞台は十分な管理費が見込める大規模マンションですが、たとえば中・小規模マンションでも、近隣の複数のマンションで共有化することで、コストの課題を解決するなど、様々な可能性を模索しているそうです。
もしこの実験で良い結果が出たら、今後は郊外の交通手段に乏しいエリアでのマンション建設の新しい可能性を開拓し、より手が届く価格帯での住宅供給ができるのではないかと、日鉄興和不動産も期待を寄せいているといいます。マンションは高くて買えない、そんな状況を脱する希望となるか、実験結果に注目です。
取材日:2020年2月20日
取材先:マンション向けMaaS「FRECRU」実験運行に関する記者発表会