住むだけでストレス解消?家の中に森をつくる<森が家>誕生

都心に向かうほど交通・商業が発達し、便利な一方、満員電車やビルに囲まれた都市での生活に、ふと疲れを感じることはありませんか?都市で感じるストレスを住むだけで解消する、そんな住まいの情報をキャッチ。予防医学研究者・石川善樹氏の協力を得て、大和ハウス工業が開発したコンセプトハウス<xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)森が家>のモデルハウスに突撃しました。

タバコより健康に悪い!? 「都市ストレス」って何?

「都市ストレス」を考えるうえで重要なキーワードが五感を刺激する「自然の揺らぎ=多彩な変化」と語る石川氏。照明による一定の灯り、人工物に囲まれ視覚的変化のない街並み、外からの音を遮断する静かな室内空間。安定した生活環境を維持するために進化してきた都市環境ですが、「変化」を取り除いた結果、自然からかい離しすぎたことで、利便性と引き換えとして心身に負荷をかけているというのです。

さらに、石川氏がタバコと同等かそれ以上に健康に悪いと評したのが「孤独」です。先日、別の記事で取材に伺った住生活の専門家もまた、「子育てや老後の生活を豊かに、快適にするカギはコミュニティです。地域と良好な関係を築き、いざという時、街に助けてもらえる環境をつくることが重要です」と語っていました。

都市ストレスを解消するとともに、地域とのつながりをつくるデバイスとする。そんなコンセプトのもと、「森が家」は誕生したそうです。それでは中に入ってみましょう。

左:予防医学研究者・石川善樹氏 右:大和ハウス工業株式会社 上席執行役員・林直樹氏(2019年1月17日撮影)

森の入り口となる1階は開放的なコミュニティデバイス

1階のテーマは森の入り口。ダイニングはダークトーンの内装に森を再現したアロマとサウンド、そしてテラスサイドの緑を望み、内と外をつなぐ大開口が印象的です。

森が家のコンセプトモデルハウスは2世帯を想定しているとのことですが、シニア夫婦1世帯でも、例えば1階でカフェやワークショップなどを開き、2・3階で生活する、というように、地域とのつながりを活かしつつセカンドキャリアを充実させる暮らし方のイメージも広がる空間です。

1階廊下から見たダイニング。深い森の中に差し込む木漏れ日を想起させる

柱や内壁、インテリアまでダークトーンで統一。静謐な森の落ち着きを再現

音が消えるだけでこんなに違う!? 森のヒーリング効果を実体験

続いて2階に上がると、更に森の気配が濃密に。緑視率(視界に含まれる緑の量)が10~15%のとき、高いリラックス効果が得られるという研究結果を基に、フラワーアーティスト・田中孝幸氏が植栽をプロデュース。室内だけでなく、バルコニーにも木鉢を配すことで、風に揺れる枝葉という視覚的な揺らぎも緊張を解き解すエッセンスだといいます。

また、より多くの木々に囲まれているからか、鳥のさえずりや葉擦れの音などのサウンドが1階よりも大きく感じられ、最初はかえってうるさいと思うほど。しかしいざ森の音を消すと、怖いほどの静寂に思わず身震いしました。

「人の耳には聞こえない周波帯の音が森には溢れていて、人は全身でその多彩な音を揺らぎとして捉え、心地よさを感じています」と石川氏。森の音が戻ると、最初に感じた煩わしさはどこへやら、すっかり心地よい安心感に包まれ、キツネにつままれたような思いを味わいました。

「実証実験でも、都市を再現した部屋に比べ、森を再現した部屋では、ストレス度が14%軽減されました。想定以上の数値に私も驚いています」と石川氏。「本当は宿泊できると、もっと効果を実感できるんですけどね。ホテルとかでも採用されるようになると良いなと思います」と田中氏も続きます。

実際に体感しないと気付かない心地よさは、病み付きになりそうでした。ハイグレード商品だからと敬遠するのは勿体ないほど。試しに見学してみると、部屋づくりのヒントになるアイデアが見つかるかもしれません。

落葉が少なく、長期的に手入れがしやすい針葉樹を軸に、梁やフローリングと馴染むような、枝や幹が露出する樹木をコーディネートしたと田中氏

暖炉の炎は水蒸気に光を当てて揺らめきを再現している。本物でなくとも、視覚的な揺らぎはリラックス効果を発揮すると石川氏

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