日夜進化する東京湾岸の最前線「豊洲」の“いま”を直撃

2020年の東京オリンピックを前に、競技場の開発やBRT(バス高速輸送システム)導入など、何かと話題が尽きない東京湾岸エリア。タワーマンション開発の最前線として、現在もたくさんのプロジェクトが鎬を削る「うちレポ」も大注目の湾岸エリアで、最新プロジェクトの情報をキャッチ!さっそく現地「豊洲」へ突撃してきました。

これぞコンパクトシティ! 刻一刻と変わる豊洲の街並み

東京メトロ有楽町線「豊洲」駅から出ると、目の前には北は中央区銀座の祝田橋、南は江東区東雲の東雲橋を渡り切るまでほぼ真直ぐに伸びる晴海通り。フラットかつ整備された歩道も歩きやすく、高層ビルがやタワーマンションが林立する東京湾岸のイメージに比して、少々間の抜けたような感想ですが、「あ、広いな・・・」というのが正直な第一印象でした。

「豊洲」駅周辺には区役所の出張所や図書館など公共施設が入る豊洲シビックセンターや大型ショッピングモール「ららぽーと豊洲」、小学校や中学校、総合病院など、日常生活に直結する施設がコンパクトにまとまっています。「豊洲ベイサイドクロス」を筆頭に建設中、建設予定のオフィスやホテルが完成すると、職住近接という観点からも成熟していくことが予想されます。また、「豊洲」駅から「市場前」駅に向かって伸びるゆりかもめ沿線の歩道は車道寄りに自転車専用道が分離されるなど、スムーズかつ安全な通行にも配慮した街づくりへの意識の高さが伺えます。

人、自転車、車、路線、あらゆる角度から交通を意識した開発が進められる豊洲は歩いていて心地が良い(画像は豊洲シビックセンター8階から撮影した豊洲駅前)

何より感動したのは、「ららぽーと豊洲」と「がすてなーに ガスの科学博物館」に隣接する「豊洲公園」の先に広がる水辺の開放感でした。そこは豊洲を一周ぐるりと囲む湾岸沿いを整備した「豊洲ぐるり公園」のスタート地点でもあり、西に豊洲大橋、北に晴海や勝どきの完成・未完成含めたタワーマンション群が一望できます。

江東区シルバー人材センターで働いているという男性に話を聞いてみると、「湾岸はすごい勢いで変わってるよね。見ていて全然飽きない。以前は東雲のアパートから東京タワーが見えたのに、あっという間に見えなくなったよ。あんなに高い塔が隠れるんだから、すごいよね。こうして水と緑の近くで、どんどん変わる新しい街並みと、楽しそうな子どもたちの姿を見るだけで毎日元気をもらえるから、僕もまだまだ元気でいられそうだよ」と語ってくれました。

住む人の意識で街は変わるなんて言いますが、ゴミひとつ落ちていない公園からは、地域の人々の「美しい環境を守りたい」という意思が伝わってくるようです。

休日にはミニテントを張ってキャンプを楽しむ家族もいるという江東区立豊洲公園。湾岸の変化も一望でき、こんな場所が身近にあったら、目的がなくても足を運びたくなるだろう

豊洲埠頭のゲートエリア「豊洲地区1-1街区」にタワーマンション誕生!

東京メトロ有楽町線「豊洲」駅から歩くこと約4分、ゆりかもめの高架線沿いに白い囲みが見えてきます。その広さ、約24,000㎡。豊洲埠頭のゲートともいえる「東電堀」や「豊洲ぐるり公園」の南側の起点部に隣接する「豊洲地区1-1街区」でタワーマンション開発計画が進行しています。

東急不動産を筆頭に、NIPPO、大成有楽不動産、JR西日本プロパティーズの4社共同により誕生する「ブランズタワー豊洲」(総戸数1,152戸)は、都心初となる“ブランズタワー”の名を冠したマンションとのこと。2019年2月18日に開催された事業説明会に参加すると、そこには多数の記者の姿!注目度の高さがうかがえます。

東急不動産の大谷宗徳氏(執行役員/首都圏住宅事業本部 本部長)は、長らく豊洲の開発に尽力してきた東京ガス用地開発より土地を譲り受けた責任を全うする意思を示し、「デベロッパーはただつくるだけでなく、育てる街づくりをしていかなければないということで、4事業者の力を合わせ、エリアマネジメントにも力を入れていきたいと考えております。2019年の夏頃(10月予定)の販売開始から、即完(即日完売)を目指していきたい」と意気込みを語ります。

本物件では地域の継続的な賑わいの創出、豊洲地区全体の活性化・価値向上に貢献するための活動を支えるべく、エリアマネジメントを目的とした一般社団法人の設立を検討しているそうです。入居者にとっても、新しい街ならではの様々なチャレンジができる“チャンス”になるかもしれません。

「ブランズタワー豊洲」完成イメージ

左から、大成有楽不動産 マンション事業本部長 糺幸男氏、東急不動産 執行役員 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部本部長 大谷宗徳氏、NIPPO 執行役員 開発事業部長 真田昭彦氏、JR西日本プロパティーズ 執行役員 不動産開発部長 前久司氏

駅徒歩4分だけじゃない!? 豊洲の“いいとこどり立地”に唖然

説明会に続き、いよいよ現場見学へ。まだ杭打ちが終わっただけでほぼほぼ更地ではあるものの、ここにタワーが建てば風景は一変するでしょう。しかし何より驚くべきは周囲の環境です。南東には「江東区立豊洲西小学校」、南に「東電堀」と「豊洲ぐるり公園」、北側はゆりかもめを挟んで「豊洲公園」や東京湾へとつながる運河が流れるという開放的なロケーションは贅沢そのもの。マンション棟西側には「東電堀」と現地北西側の接道(東京都道484号豊洲有明線)をつなぐ、プロムナードを整備し、地域の資産としての価値創出にもつなげていく考えといいます。

「これまで、当計画地はずっと更地だったり、モデルルーム用地だったり、或いは工事用重機の駐機スペースだったため、地域にとってはデッドスペースでしかありませんでした。そのため、当計画によって東電堀周りのマンションに住まわれる方にとっても、豊洲駅までのアプローチが整備されることになります。豊洲は、街づくりや地域活動に非常に熱心な方が多く住まわれているエリアなので、エリアマネジメントに対する取り組みも含め、受け入れて頂けています」と自然体で語ってくれたのは東急不動産の松澤氏(首都圏住宅事業本部 マンション開発第二部 係長)。プロジェクトに対する意気込みと、自信のほどが伺えます。

また、先に紹介した「豊洲」駅周辺の生活利便施設はそのまま、庭を散歩する程度の感覚で普段使いできる、そんな距離に揃っていますが、「新しい街の弊害として、小学校の不足やスーパーなど日常使いできる商業施設の不足がありますが、当プロジェクトでは敷地の一部を区に譲渡し、豊洲西小学校の増築用地としたほか、マンション内にスーパーの誘致も予定しています。また元々東京ガス縁の地ですから、目の前のがすてなーにとデザインを連動させた施設も計画しています」と、今後の開発が気になる話も聞くことができました。

ゆりかもめの車窓から撮影した「ブランズタワー豊洲」建設地の様子

「ブランズタワー豊洲」の北側に通りいを挟んで隣接する「がすてなーに ガスの博物館」

販売センターはあの人気スポットの真横に! 話題の豊洲市場にも注目

通常、開発現場には入れませんが、「豊洲」駅からゆりかもめに乗ると、左手の窓から現場の様子が一望できます。2019年5月15日に工事完了予定の販売センターは、なんとDMMが運営する大人気のデジタルアートミュージアム「teamLab Planets TOKYO」のすぐ隣です!販売センター自体の外観デザインも面白いので、オープンしたらぜひ取材に行きたいものです。その足で話題の豊洲市場へ美味しいお寿司を食べに、なんて考えるだけでワクワクして来ます。

豊洲市場の搬入警備をしている男性に豊洲市場の様子を尋ねると、「豊洲市場はまだまだこれからですね。商業施設や駐車場の整備が進めば、千客万来も期待できると思います。あと、今は目利きが良いネタを扱う分、高めのお寿司屋さんばかりなので、リーズナブルなお店もできてくると近所の人たちや若い人にはうれしいんじゃないかと思います。豊洲市場で寿司を食べるなら、色々うんちくを聞いてみると良いですよ」と教えてくれました。

因みに豊洲市場カレンダーを確認しないで、市場の休日に足を運ぶ人がとても多いとか。豊洲市場目当てのお出かけの際は、東京都中央卸売市場のホームページでカレンダーチェックをお忘れなく。

2004年に東京卸売市場の移転計画が発表されてから紆余曲折を経て、2018年にオープンした豊洲市場。市場前駅

豊洲市場駅の北側では商業施設やホテル、オフィスビルなどの建設が着々と進行

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